グルーミングの意味とは? トリミングとの違いや必要な犬種をプロが解説
グルーミングの意味とは? トリミングとの違いや必要な犬種をプロが解説
トリミングは犬の代表的なお手入れですが、似たような意味の言葉として「グルーミング」があります。トリマーのことをグルーマーと呼ぶこともありますが、「トリミングとグルーミング」「トリマーとグルーマー」は何が違うのでしょうか。今回は、フリートリマーのくるみがグルーミングについて解説します。
♡グルーミングとは♡
グルーミングは英語で「grooming」と表記します。groomはお手入れや身づくろいを意味する動詞ですが、名詞では厩(きゅう)務員を意味し、もともとは馬の手入れ、つまり「毛づくろいをする」という意味で使われていました。
グルーミングとトリミングの違い
グルーミングは「全身をお手入れし、清潔に保つこと」で、トリミングは「毛をカットしてキレイに整えること」です。グルーミングの中の一つがトリミングなので、人によってはグルーミングとトリミングを同じ意味で使っている場合もあります。
グルーミングの目的
トリミングは目的がわかりやすいと思いますが、グルーミングにはどのような目的があるのでしょうか。主な目的を三つ紹介します。
健康管理・維持
グルーミングは、飼い主さんが愛犬の健康状態を知るために大切な毎日のケアです。体全体をブラッシングすれば皮膚に刺激を与えて血行促進や新陳代謝の活性化になりますし、日々の変化を知ることができます。全身をお手入れすることで、皮膚の異常や腫瘍の有無など、病気の早期発見にもつながります。
コミュニケーションの構築
体をなでてあげることは、飼い主とペットの絆を深めるスキンシップになります。小さい頃からなでて触れてあげることによってワンコも喜びを感じ、一種の社会化として人に対しての安心感につながります。
本来の美しさの発揮
被毛の美しさを保つためにブラッシングが欠かせないのは言うまでもありませんし、シャンプーをすることで体に付いた汚れなどを洗い流して清潔に保つことができます。グルーミングによって、犬の本来の美しさを発揮させることができるようになります。
♡グルーミング犬種とは♡
トリミングの場合は、シーズーやマルチーズなどのトリミング犬種がいますが、グルーミングは特定の犬種ではなく全犬種で必要となります。
トリミング犬種以外では以下の犬種が挙げられます。
※「トリミングをしてはいけない犬種」ではありません。
- チワワ(スムースコート・ロングコート)
- ダックスフンド(スムースコート・ロングコート、スタンダード・ミニチュア・カニーヘン)
- ポメラニアン
- 柴犬
- ウェルシュ・コーギー(ペンブローク、カーディガン)
- シェルティ(シェットランドシープドッグ)
- ゴールデンレトリーバー など
一代雑種(ミックス)はどうなの?
最近はミックス犬と呼ばれる一代雑種も人気です。例えばマルプー(マルチーズ×プードル)、チワプー(チワワ×プードル)、シュナマル(シュナウザー×マルチーズ)など、トリミング犬種同士の一代雑種も多いです。一代雑種はそれぞれの大きさや毛質が1匹1匹違いますし、成長過程でも大きく変わってきます。カットスタイルに決まりがありませんので、トリマーさんと相談しながらカットスタイルを決めていきましょう。
トリミング犬種以外が必要に応じてカットをすることも可能です。基本的には日々のブラッシングなどでのお手入れで問題ないですが、お尻まわりや足の毛などの部分カットから、必要に応じて全身カットもします。まずはトリマーに相談してみてください。
♡毛の生え変わりの時期♡
毛が生え変わる時期のことを毛周期と言います。毛が二層になっている「ダブルコート」の犬種は年に2回(春と秋)生え変わりの時期があり、毛がよく抜けます。主な犬種として柴犬、ダックスフンド、チワワ、コーギー、ポメラニアン、シベリアンハスキー、ペキニーズなどが挙げられます。これらの犬種の飼い主さんは、こまめにブラッシングをして毛の生え変わりを手助けしてあげましょう。「シングルコート」の場合は毛が抜けにくく伸び続けますのでトリミングが必要です。
♡グルーミングの種類・役割♡
グルーミングにはブラッシングやトリミングだけでなく、さまざまなケアが含まれます。
ブラッシング
犬のブラッシングは抜け毛、死毛などを取り除き、被毛を綺麗に維持するためにとても大切です。
コーミング
ブラッシングの後は、コームで毛の根元から毛先に向かって毛をとかし、毛がもつれていないか確認してください(コーミング)。毛玉ができにくいケアができます。
爪切り
爪を切らないと爪自体がどんどん伸びて、怪我や骨格変形の原因となるため爪切りが必要です。
耳掃除
犬の耳掃除をしないと汚れがたまり、臭いや痒み、外耳炎など病気の原因になる可能性があります。
歯磨き
歯磨きをしないと歯石がたまり、口臭や歯周病などの原因になります。
肛門腺絞り
犬は排泄の時に肛門腺に分泌物がたまります。その溜まった分泌物を絞り、健康で清潔な状態に保ってあげる必要があります。
シャンプー
犬のシャンプーは、皮膚、被毛を清潔に保ち体を清潔にするために大切なケアです。
♡グルーミングの頻度♡
ブラッシングは基本的に毎日行ってください。なでてあげる感覚と同じようにブラッシングすることで、スキンシップの一環になります。
爪切りやシャンプーなどは、だいたい月に1回ぐらいが目安です。その子によって爪の伸び具合、肛門腺の溜まり、体の汚れ具合はさまざまです。
老犬の場合
老犬の場合、シャンプーやトリミングは体に負担がかかってしまうため利用頻度を少なくした方が良いかもしれません。臭いが気になる場合は、パウダーシャンプー(水を使わないシャンプー)をしたり、爪切りも何回かに分けて細かく行ったり、トリマーと相談しながらケアしてあげてください。
グルーミングの注意点
パピーで初めてサロンに行く場合は、一般的にワクチンの接種を事前に行っている必要があります。ワクチン接種後すぐのグルーミングはワンちゃんに負担が掛かってしまうため、2週間ほど空けてからのグルーミング(トリミング)をお勧めしています。
♡グルーミングに掛かる費用・時間♡
ペットサロンでグルーミングをお願いした場合の一般的な費用や時間を紹介します。お店によってことなりますので、必ずご利用になるお店に確認するようにしてください。
グルーミングに掛かる費用
グルーミング全般として、爪切り、足裏バリカン、耳掃除、ブラッシング、肛門絞り、シャンプー、ブロー(毛を乾かすこと)をするのに掛かる費用は以下の通りです。
小型犬:約2500円~
中型犬:約3500円~
大型犬:約5000円~
グルーミングに掛かる時間
グルーミング全般として、爪切り、足裏バリカン、耳掃除、ブラッシング、肛門絞り、シャンプー、ブロー(毛を乾かすこと)をするのに掛かる時間は以下の通りです。
小型犬:約30分~1時間
中型犬:約1~2時間
大型犬:約1~3時間
オプションメニューとして爪切り、足裏バリカン、耳掃除、肛門絞りなどを行う場合は約10分を目安にするといいでしょう。
※地域や犬種・大きさによって大きく異なっていきますので、あくまでも目安です。毛玉取りやパック、マイクロバブルなどは別途料金が掛かります。
♡グルーミングが愛犬の健康管理に♡
愛犬の健康のために、飼い主さんは日々、体をチェックして早く異変に気付いてあげることが大切です。しかし、なかなか気付けずに異変が明確になるほど悪化してから動物病院に行くケースが少なくありません。トリミングは犬の体を触ったり注意深く見たりしますので、体の変化に気付くことができ、病気の早期発見につながります。実際に体にしこりを感じて飼い主さんに伝え、動物病院で診てもらったことでがんの早期発見になった例もあります。私たちトリマーがトリミングをすることは、犬の健康管理にもつながります。
おうちでのチェックはもちろん、トリミングやグルーミングも活用しながら、ワンちゃんがいつでもキレイで健康に過ごせるようにしてあげてください!